第八話「右の神」

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(注意)
以下の文章は適当人間が作成した適当な文字の羅列です。
決して真に受けず、適当に流し読んでくださいますよう、心よりお願い申し上げます。

 

 

踏みしめた床が七色に色めき、固く閉じられた鋼鉄の扉が後光がさすように輝いた。
金属がこすれてぶつかる音とともに、金色の光が私たちに向かって溢れかえる。
まるで神の手のひらに包まれたような暖かさと安らぎに身を任せながら、そっとささやく声が耳に届いた。


「アナタハカミヲシンジマスカー」

 

せんせーの地道なFC募集活動が功を奏したのか、我らがタノシミナティのメンバーは10人を超えるまでに膨らんでいた。
着実に規模が大きくなることを実感した私たち三人は、金策、つまりアクアポリスへの侵攻の頻度を増やし、来たるLサイズの家購入の夢に向けて日進月歩で突き進んでいた。
そんな折、FCチャットでアクアポリスの参加者を募るなかで、メンバーの一人がフレンドを一人つれていきたいという話が出る。
もちろん断る理由など一切ない、二つ返事で了承し、現地へと皆で向かった。

Falling Chiemi
ねぇ、わしが開ける箱になんで転送魔紋入ってないの? しばらく全然見てないんですけどー

Fal Fal
自分はまぁそれなりに開いてますけど、一層とか二層で終わってますねぇハイ。それを言うならさとさんも全然開いてなかったり、あ、すいませんなんでもないですハイ

Sato Matoya
メガネうっせぇ

何度も繰り返しアクアポリスに挑戦するとわかってくることがある。
開かないときはほんとに開かないのだ。
転送魔紋はもちろん、深層に向かえば向かうほど最終層までの確率の低さを痛感する。
ここ数日の中で誰も転送魔紋が開かなかったというケースもあった。
今日もほんのちょっとの利益しか出ないのかと諦観の境地へと達しようとしたとき、メンバーのフレンドさんの順番が回ってきた。
運よく転送魔紋が現れ、アクアポリスに全員が意気揚々と突入する。
すると、これまであまり発言することがなかったその人が、突如堰を切ったようにチャット欄を埋めていった。


「アナタハカミヲシンジマスカー」

 

Falling Chiemi
いきなり何言ってんだ、もしかしてやばい人なの?

心の中でそんな風に思いながらも、私はなぜかチャットログから目が離せない。


「ワタシハ右の神ノテンパードデース」

 

そう言って、その人は右の扉へと迷わず向かった。
そして続く快進撃、次から次へと右の扉を開き、深層へと私たちを導いていく。

Falling Chiemi
……マジで? 右の神様っているの?

疑い半分なのは変わらずも、着実に成果を出していく信仰の言葉に、私は衝撃を受けていた。
私はこれまで無宗教を貫いてきた、神は信じるものの中にはいるものの、心から信じぬものの中には存在できない。
後者が私だ。
だが、それと同時に羨望の念があった自覚もあるのだ。何かを心から信じることができるのは、どれだけ尊いことなのだろうと。
抑圧されていた心がふっと優しく撫でられて、弛緩していくのを感じた。
結局六層で侵攻は終わったが、私の心に深く残ったものが確かにあったのだ。
Falling Chiemi
アナタハカミヲシンジマスカー

これは、私が入信するまでの物語。

右の神は確かにいるのだ。

 

  • 著者名:
    Falling Chiemi

  • 自己紹介

    このまっさらな空間に文字を埋め尽くすのは私が最も得意としているところでつまり何を言いたいのかというとひとえにこれっぽちではまったくと言っていいほど語り足り

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